R&D 研究開発紹介
熊本から世界へ
未来の心疾患治療を変える
生体吸収性マグネシウム合金ステント
冠動脈の狭窄や閉塞によって引き起こされる狭心症や心筋梗塞は、長きにわたり日本人の死因第二位に挙げられています。心疾患の治療に適用される冠動脈ステントは、技術革新を経て、今や低侵襲性治療機器の代名詞となっています。しかしながら、冠動脈ステントを一旦留置してしまうと、患部が回復した後も取り除くことができません。金属製の異物が体内に残存し続けるのを不安に思う患者様は少なくないことでしょう。
近年、『生体吸収性スキャフォルド』という名の次世代ステントが脚光を浴び始めています。何と言ってもその特徴は、患部の回復過程を経て徐々に分解し、やがて吸収されてなくなってしまうことにあります。体内必須元素であるマグネシウムが主成分であるため、金属としての強度はもちろんのこと、安全性も兼ね備えているのです。
R&D 研究開発
世界最高水準の生体吸収性スキャフォルド
マグネシウムの強度は、既存ステントに採用される金属には遠く及びません。そのため、ステント開発の現場では、血管を支える強度(血管支持力)を改善する手段として、形状(ストラット)を分厚くすることが常識とされています。一方、当社では、独自のミクロ制御技術をもとに、ステントの構成要素である「合金」「デザイン」「表面処理(ポリマーコート)」を新たに開発し、最適に統合することで、既存ステントのスペックに迫る薄くて強い生体吸収性スキャフォルドの実現を目指します。
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合金について
基盤となる高精度マグネシウム合金
当社が採用する不二ライトメタル株式会社(FLM)製のマグネシウム合金基材は、他金属のコンタミがなく、微細且つ均一な構造であるがゆえに、生体安全性ならびに変形性能に優れています。さらに、シームレス構造であることを強みとして、疲労耐久性を兼ね備えているのです。
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デザインについて
有限要素解析を使用したコンピュータ解析
ステントはセルという部分と、リンクという部分で構成されています。セルは血管を支持する役割を担い、リンクはセル同士を連結する役割を担います。血管を支持する力を向上させるためには、この二つの形状を最適化することが重要となってきます。当社ではコンピュータ上でシミュレーションを繰り返し、最適なデザインを決定しました。
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科学と技術が融合したミクロンオーダーの高精細デバイス
精密加工・電解研磨技術の高度化により、世界最高水準の鏡面仕上げを実現しています。医療機器の表面は、生体組織に直接触れるため、その表面の化学的あるいは物理的な特性が、患部の回復の成否を左右するといっても過言ではありません。従って、当社は、ジャパン・クオリティの高精細な仕上げにとことんこだわっています。当然、薄肉化を実現するためにも、不可欠な要素であるといえます。
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機能性・操作性の鍵となる薄肉化
市場に流通する既存ステントには、構成する網目一つ一つが薄いという共通点があります。いずれのステントも、ストラットは100μm(髪の毛ほど)にも及びません。実は、この薄肉化こそが、機能性ならびに操作性の向上に重要な効果を発揮します。当社が開発したデザイン(網目構造)は、マグネシウム合金基材のポテンシャルを最大化することにより、血管支持力を損なうことなく、薄肉化を実現することができるのです。
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血管支持力に関する他社ステントとの比較データ
(81μm)
(150μm)
(110μm)
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※()内はストラット値
※プロファイルはすべて1.06〜1.09mm(実測)
海外承認品とJFK-01(Mg・BRS)の比較
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血管支持力/分解/リモデリング
3ヵ月間血管を支持後、18ヵ月(540日)でMg分解完了
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表面加工(ポリマーコーティング)について
患部に薬剤を届ける機能性コーティング
マグネシウム合金基材表面を覆う生分解性ポリマーには薬剤が搭載されており、患部における再狭窄を抑制する役割を担っています。生分解性ポリマーは、血液の水成分を吸収する過程で、自らも分解しながら、徐々に薬剤を放出するのです。さらに、患部の回復期間、血管を支持する機能を果たせるように、マグネシウム合金の分解を制御する役割を担っています。当社が採用する生分解性ポリマーは、生体安全性に優れているということは言うまでもなく、マグネシウム合金基材の変形性能に追従することのできる柔軟性と接着性を有しています。
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